皆さんは、テストで悪い点数を取ったとき、分からないことがあったときに、自分の中にしまいこんだり、なかったことにしたりしていませんか? 不安なときに、独りで気持ちを抱え込んだりしていませんか? 実は僕も、学習の中で、そんな経験をしました。

 しかし、これでは、いつまでたっても自分の殻を破れませんし、とてももったいないことです。僕は、この問題に気づき、運よく考えを改めることができたおかげで、一気に成果も上がり、何より気持ちが楽になりましたので、この体験記の中で、解決方法と、学習に明るい気分で取り組む、とっておきの方法を皆さんにご紹介したいと思います。

 僕は、六年生の初め、先生や両親に、自分の書いたノートを見られるのがとても嫌でした。授業中は、解いている姿を見られないように、ノートを手で隠しながら解いていることもありました。なぜかと言うと、「分からないこと」「できない自分」を他人に見られることが恥ずかしかったからです。

 その時に、救いだったのは、先生がノートを見せないようにしている僕の姿から、僕の不安を感じ取ってくださったことです。先生は、僕に優しく、「先生がノートを見るわけ、それは、解き方などからその子の問題点をつかんで、もっと楽に解けるようにアドバイスするためであること」を語ってくださいました。

 また、親からは「自分から、解いたものを見せに行こう。たとえ、結果が正解だったとしても、解いた跡や、計算メモ、国語読解で書き込んだ線やマーク、書き直しの跡などを見てもらえたら、もっと良い方法を教えてくれるよ」「分からないことがあれば自分からどんどん質問に行くといいよ。」と教えてもらいました。そして、教えてもらいに行くときは、「この問題が解けません」ではなく、「どこで詰まった、どこまではできた、あるいは、解答書の説明はわかるけれど、こんなの思い浮かばない」というような、自分の考えた事や気持ちもそのまま伝えるように教わりました。

 僕は、恐る恐る、言われたことをやってみたのですが……驚くほど、気持ちが楽になりました。分からないことは恥ずかしくなくなったし、今までは「分からないものをどうしよう」というマイナスの気持ちを抱えていた時間が、「教えてもらったものを後で自分でも試してみよう」というプラスの気持ちに変わりました。

 もうひとつ、自分をオープンにする取り組みとしてやったことが、「自分の学んできたことを説明する習慣」です。僕は、今日、塾でやったことを帰りの移動中の10分間で「どんな内容を学んだか」「得手不得手などの感想」などを、毎日親に話すようにしていました。授業が終わった瞬間は分かったつもりでも、たかだか数十分後でさえ、説明できないことがとてもよくあるものです。親には、「ツッコミ役」をしてもらい、僕の説明で分からなかったことに対して次々と質問が飛んできます。これによって、僕は、「わかったつもりであったこと」「分かっていなかったこと」などがわかるようになり、その部分を、間違い直しで考えたり、翌日に先生に質問したりしました。また、この取り組みを始めてから、話をまとめる力がついたような気がします。はじめの頃は一日の授業内容を説明するのに30分以上かかっていましたが、三カ月も続けると、だいたい10分くらいで要点を説明できるようになってきました。

 また、過去問は、自己学習することが多いのですが、得点や内容にかかわらず、先生に報告をしていました。〇×や得点だけでは見えてこない、時間の使い方や、得点の積み重ね方など、答案を見てもらうことでしかもらえないアドバイスが手に入ります。また、テキストのどこをやり直せばよいのかなど教えていただくと、間違えた後に自分の力が伸びていることを実感できるので、自信もつきます。

 僕は、受験を通して、合格と共に、「学びを得るためには、心をオープンにすることが必要だ」ということを学びました。まわりには、自分を支えてくれる多くの人の知恵と経験があります。そして、何より、僕たちのことを、「せいいっぱい成長してほしい」と心から願ってくれています。その力を自分のものにするために必要なことは、自分自身が「もっと良くなりたい」と思う意思だと思います。漢字で言えば「聞く」のではなく「聴く」ことだと思います。

 皆さんも、心をオープンにしてみてください。

 学習のことだけでなく、不安なこと、学校での出来事や友達のこと、なんでも話せると、とても心が軽くなり、学習の方にも気持ちが集中しやすくなります。

 後へ続くみなさんも、僕自身も、もっともっと、明るい気持ちで、それぞれの目標に向かって取り組めるように、お互いに頑張っていきましょう。名進研の仲間であるみなさんが、素敵な成果を出してもらえるのをお祈りしています。