最後は子供を信じるしかない
娘の三年間の受験生活は、どこを切り取っても苦しく辛いものでした。勉強が好きでもなく、塾が楽しいわけでもなく、学ぶことに喜びがあるわけでもない。ゲームや漫画やアニメが好きで、時間さえあればYouTubeを見ている、どこにでもいる普通の小学生だった娘が、南山女子に合格できたことは、本人の努力と名進研の先生方の支えがあったお蔭です。
「地元の中学には行きたくない」という娘の言葉から我が家の中学受験がスタートしました。四年生から塾に入るなら漠然と勉強するよりも明確に行きたい学校のイメージを持って勉強した方がいいだろうと思い、入会前の三年生の冬休みに南女の学校見学に足を運びました。その後も受験する可能性がありそうな学校見学に足を運びましたが、娘は南女が気に入り、早い段階で南女を目指して勉強をしていました。
通い始めの頃は、先生が何を言っているのか分からなかったと魂が抜けた顔で帰ってきたり、算数の問題が分からなくて泣きながら宿題をしていたり。そんな娘を見て、世の受験生の親はどういうサポートをしているのか検索をして、スケジュールを立てたり、復習ノートを作ったり、私も受験生の親としての自覚が芽生えた時期でした。
五年生になると中だるみ期に突入し、宿題をダラダラするだけで時間は過ぎ、復習の時間は持てず、成績は下降し、「勉強したくない」「もうやだ」が口癖のようになりました。一学期の間は様子を見ていましたが、さすがに受験からの撤退をするなら二学期が始まる前にと思い、夏休みに娘と話し合いました。娘の答えは「南女を目指す」でした。二学期からは前向きに勉強に取り組むようになりましたが、一学期の間についた上位層との差は最後の最後まで縮まらなかったように感じます。
六年生になっても偏差値50~55のあたりをウロウロする中で、苦手な算数に特に時間を割き勉強していました。しかし、六年生の夏休みから調子を崩し、十一月のプレ中で偏差値43まで下降しました。算数にほとんどの時間を割いているにもかかわらず低迷していく結果を前に、娘の心が折れかかっているのを見るのは非常に辛かったです。先生から、「南女対策に絞って必須単元の復習に徹しましょう」と提案いただき、先生を信じてスケジュールを組む一方で、ここが娘の能力の限界なのかも……と、歯を食いしばって頑張っている娘の前では決して言えない言葉を飲み込んでいました。
十二月ごろから算数の成績が上向き始め、最後のプレ中では、算数の偏差値も57まで上がり、総合偏差値は61になり、いよいよ南女の背中が見えてきました。すべての歯車が嚙み合ったように、上手く回り始めたと思えたのは冬休みに入ってからです。冬休みに入ってからの娘の集中力は素晴らしく、最後の一か月で娘の実力が大幅に向上したように感じました。保護者会で直前まで学力は伸びると先生方が仰っていましたが、まさにその通りだと身をもって感じました。
一月は入試が終わるまで学校は休みました。それまで学校と塾の両立で時間に追われながら勉強していたのが、受験に集中できるようになり、心の余裕ができて勉強に取り組めていたように感じます。非常にテンションが高く、ワクワクしているような楽しみにしているような、そんなテンションで入試に突入しました。緊張がポジティブな方向に向いていて、見ていて頼もしく失敗する気が全くしない。それでも、たくさんの「大丈夫」を娘に伝え続けました。
(これまで頑張ってきたから)大丈夫。
(自分を信じてやれば)大丈夫。
(落ちるイメージができないから)大丈夫。
受験生の親として私が行ったことは、名進研の宿題・課題・苦手単元の復習を日々のスケジュールにタスクとして落とし込むこと。子供が自分で考えて自主的に苦手単元などの勉強をすることが理想ではあるけれど、その成長を待っている間に手遅れになるのは最悪だと思い、私は四年生の夏頃からスケジュール作りをしていました。その日できなくても一週間でこなせればいいという緩い取り決めでしたが、六年生にもなると授業のコマ数も増え、宿題も課題も多く、スケジュールを組むのが大変でした。優先順位をつけ、取捨選択し、要領よく効率よく、勉強一色ではなく娘の息抜きの時間も入れつつ、最大の結果を出すにはどうしたらいいのかを常に考えてスケジュールを組んでいました。六年生の後期になってからは過去問・志望校対策・個別課題とさらにやることが増え、残りの限られた時間で苦手単元を得意にするには何をしたらいいのか、あと10点取るには何をしたらいいのかを先生方にも相談していました。子供と大人では時間の流れる感覚が違うのでじれったく思う時もありましたが、大人だからこそ先のことを見据えて志望校に間に合うように仕上げていく計画が立てられると思います。
親が最後にできることは、神様に祈ることと、子供を信じることの二つに尽きます。こんなにお守りつけて神様が喧嘩しない?
と言われるくらい娘の通塾カバンには合格守がついていました。神様は喧嘩しません(笑)。運も実力の内です。子供に最大の運
気を持たせて送り出してください。












