この春、東海中学校と名古屋中学校を息子が受験し、それぞれ合格(名古屋中はスカラー)を手にし、四月から東海中学校に入学することになりました。少しでも皆様のご参考になることがあれば、と筆をとりました。

 私自身は高校受験を経て公立高校に通い、大学受験を経験しているため、我が家はそもそも私立中学の受験をするつもりで名進研に通い始めた訳ではありませんでした。小四の頃の息子は、少し勉強すれば学校のテストでは簡単に高得点がとれてしまい、またケアレスミスをしても「○○くんは~点だったから、自分はまだ大丈夫な方。」等、下に目を向けて、自分の精一杯の力を前向きに出そうという姿勢が見られませんでした。世の中には、自分と同じくらい、または自分以上に頑張っている子達もいることを知って、今の環境に甘んじることなく良い刺激を受けて欲しい、そんな思いから小四の夏期講習から近所の名進研に通い始めました。

 今まで小学校の世界しか知らなかった息子にとって、意欲ある先生方の授業や、活気のある授業の雰囲気、そして大量の宿題を当たり前にこなしてくる塾の子達の存在は、予想通りとても良い刺激になったようです。成績順に座席の順番が決められるシステムも息子には合っていたようで、一列目の左端(一番の席)をキープし続けることが息子のモチベーション維持にもつながっていたようです。

 幸いにも、頑張れば頑張った分、順調に成績も伸びて、模試のたびに成績優秀者に名前が載り、賞状がもらえ、その頑張りを先生方に褒めていただける。当然のことのようでも、今の時代の小学校ではなかなか公で評価してもらう経験はできないことであり、息子にはとても嬉しく大きな自信になったようです。

 そのような環境の中、いつしか息子も「自分も私立中学校を受験して通いたい。」という目標を持つようになりました。

 小四、小五の頃は週に二回、三回の通塾でしたが、小六からは週に四回の通塾スケジュールになると分かった小五の秋頃、我が家ではちょっとした家族会議が開かれました。息子は年中の頃からスイミングスクールに通っており、目標の卒業級まであともう一歩のところでした。出来ることなら息子が納得するまでスイミングスクールを続けさせてあげたいものの、週四回の通塾との両立は難しそうでした。また、我が家では、成長期には十分な睡眠がとても大切だと考えており、平日は基本的に夜九時には就寝、朝六時に起床といったリズムを心掛けていました。しかし、六年生の通塾スケジュールになると夜九時の就寝ができなくなることが予測されました。さらに、どんなに受験生とはいえまだ小学生の息子には、今まで通り自分の好きなことをする自由な時間や、お友達と遊ぶ時間を確保して、子供らしい小学生の一時を過ごして欲しい、とも思っておりました。中学受験をしっかりこなし、十分な睡眠時間を確保しつつ、習い事も続けて、自由な時間もちゃんと持ちながら生活することは無理なことなのか……。そう頭を悩ませていた頃、息子が小六になるのと同時にDクラスが開講されることを知り、正に「渡りに船」だとDクラスに通うことを決めました。

 Dクラスは週に一日、名駅校であるため、塾の日は四教科分の大量のテキスト類とお弁当を持って塾まで行き、朝から夕方まで授業があります。慣れるまでは、長い時間の集中力と荷物の重さに「肩がはずれそう。」と大変そうでしたが、何よりも日曜日~金曜日を自分のペースで生活でき、自分のペースで勉強できることがとても良かったと思います。幸いにも六年生でも成績を維持し続け、無事第一志望校に合格することができました。先生方にも息子の勉強スタイルをご理解いただき、「こうではないとダメ。」といったやり方を強要することなく、寛容に見守っていただけましたこと、とても感謝しております。ありがとうございました。

 思い返すと、今まで模試などの前には「緊張するー。いやだー。」とぼやいていた息子が、小六の夏期講習の総仕上げテストの頃から、「楽しんでくるわ。」と意気揚々と校舎に入って行くようになり、その逞しく成長した姿を頼もしく感じたのを覚えています。

 中学受験は決してゴールではありませんが、この経験から得られたものを糧に、次なる目標に向かって頑張っていってくれると信じています。

 「中学受験は、時間のやりくりと工夫次第で乗り越えられる。」そんな我が家の体験が、少しでも参考になりましたら幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。