夢のまた夢は現実に
再寄稿の機会をいただいたことを大変感謝しております。
三年前、娘が南山中学校女子部に合格し、まだその喜びに浸っていた頃、「もうこのリュックを背負って名進研に行くこともないんだね」と話した時です。まだテキストがいっぱい入ったままの重いリュックをよろよろしながら背負い、「これからはぼくが名進研に行くよ」と話したのが、今回中学受験をした息子です。夜遅くまで勉強する娘を見ていたので、通塾は嫌がるのではと思っていましたから、自分から言い出したのは驚きでした。お世辞にも良いと言えない通知表で、名進研に入れるか心配しましたが、入塾テストで先生から「図を描いて答えていました。素晴らしいですね」とお褒めの言葉をいただき、まさかのJSクラスへの入室許可でした。娘が息子を抱き上げて喜んでいたのを思い出します。
主人と息子が希望したのは、南山中学校男子部でした。雰囲気が息子にぴったりと思ったからです。ただ、私は姉弟揃って南山に通うなんて夢のまた夢としか思っていませんでした。娘と入れ替わりに息子の名進研生活が始まりました。「名進研、楽しい」と、あれほど見ていたテレビも録画で我慢して自分から自習室に通いだし、私の仕事はお弁当作りと送迎だけになり、すべて塾にお任せしました。四年生の間は一度だけ偏差値49.9でJAクラスになりましたが、それ以外はなんとかJSクラスで授業を受けることができました。ただ、座席は後ろから数えたほうが早く五年生のテストゼミはKS1からのスタートでした。後期直前でTN3にあがったものの、実力テストが芳しくなく後期は再びKS1で始まることになりました。
その頃、面談があり志望校は南山中学校男子部とお伝えすると教室長の先生から「せっかくですから、東海中学校の文化祭を見に行ってください。なかなか面白いですよ」とお話をいただきました。そこで、出かけてみると、趣向をこらした素晴らしい展示や生徒さんたちの機転を利かせた行動に「さすが東海生」とただただ感動して帰りました。
その数日後です。息子が言いました。「僕、東海中学校に行きたい」主人は息子の人生だからと即賛成しましたが、私は気が変わってくれることを望んでいました。南山の校風が気に入っていましたし、なんと言っても成績的にこれまた夢のまた夢と思わざるを得なかったからです。しかし、息子の決意は固く、私もいつからか応援する気持ちになりました。
そのまま六年生に突入。テストゼミはTN3から始まりました。五年生の時にトップレベル講座EXを受講するほど得意な算数は、実力テスト時代は計算ミスや字の汚さで20点ほど落とすことが多々ありましたが、条件チェックをするようになると点数は安定していました。理科はもともと得意で、そのままの状態をキープしていました。ただ、社会は不安定、国語はボロボロでした。しかし、夏頃から急に社会が伸びてきたのです。名進研の校舎では社会は満点を取るまでひたすら反復をしていくシステムがあり、この頃にようやくその成果が表れたのでしょう。
後期のテストゼミはTN2でのスタートになりました。ただ、苦手の国語が足を引っ張り毎回低迷して、年末にはTN3になってしまいました。でも、先生方のフォローのおかげで落ち込むことなく勉強し、最後のプレ中学入試の結果、初めて一列目に座ることができ、そしてテストゼミで白星を取って気分を良くした翌週から入試が始まりました。
愛知中学校、愛知工業大学名電中学校、名古屋中学校と合格を重ね、ついに第一志望の東海中学校の入試となりました。入試会場に行く途中、東海中学校の生徒さんが「おはようございます」と挨拶してくれました。「受かったら、この制服を着られるの?着たい‼」と話す息子に「絶対に着ようね」と答えながら、必ず着せてあげたい…とどれほど願ったことでしょう。
東海中学校の入試が終わり、教室を出てくると「今まで受験してきた学校とは比較にならないくらい難しかった。算数もできなかった。落ちたと思う」と分析した息子。「みんな難しかったと言っているよ。みんな一緒だよ」と私はまるで自分に言い聞かせるように話しました。
午前10時少し前、速達が届きました。受けとったのは…ペラペラの封筒でした。「えっ…あんなに頑張ったのに…」その場に立ち尽くしてしまいました。我に返りリビングに戻ると、はさみを用意した息子がいました。「受かっていると思う?」と尋ねられ「…だと、いいね…」と答えるのが精一杯でした。封筒の上の方にはさみを入れる息子。私は耐えられなくなり、目を閉じてしまいました。どれくらい経ったでしょうか。「ママ、見て」の声に目を開けると、目に入ったのは振込用紙でした。「残念な場合でも寄付金をお願いするのか」と思いながら視線を上にすると目に飛び込んできたのは「合格通知書」の文字でした。「え?え⁈」目をこすってもその文字は変わることはありませんでした。一度覚悟しただけに、合格を知ったときは号泣でした。息子はただおろおろしながら私の涙を拭いてくれていました。
結果判明後、持ち帰った東海中学校の問題用紙を見てみました。そこにはたくさんの条件チェックの跡、また、今まで見たことがないような、それはそれは丁寧な文字が記されていました。何度も何度も先生方に注意されたことがしっかり実践してありました。ああ、本当に東海中学校に行きたかったんだ…。熱いものがこみ上げてきました。
これから受験を迎えるお子様を持つ親御様、どうかお子様を信じて応援してあげてください。
私にとっては二人目の中学受験ということで、今回はどんと構えて、保護者会での先生方のお話をすべて受け入れようと思っていましたが、実際は言ってはいけない言葉を言うことも多々ありました。寝顔を見て、何度申し訳ないと思ったことでしょう。
私が注意しても聞かないので、些細な事でも先生方にお願いしましたが、先生方は一度も嫌な顔をなさらず、「分かりました」と引き受けてくださいました。
三年間お世話になった名進研の先生方、また、テストゼミやトップレベル講座EX、速読・速解力講座、能力開発でお世話になった先生方、本当にありがとうございました。ただただお礼の言葉しか見つかりません。
食事もとらずに送迎を引き受けてくれた主人、入試日には応援の手紙を机に置き、合格をメールで知らせると、学校から泣きながら「おめでとう」と電話をくれた娘、後方支援をしてくれた両親…。家族みんなに支えられての志望校合格だったと思います。
そして、息子。私たちに最高の結果と感動をありがとう。
皆様にも素晴らしい桜が咲きますよう、心からお祈りしております。