合格より先の目標を
十一月の志望校別プレ入試の結果は、東海中学校も滝中学校もC判定でした。
それまで全体で百番以内くらいだった成績が、夏休み明け頃から下降気味だったので心配していたのですが、この時期にきてこの結果と、落胆してしまいました。
それまで家族ぐるみで息子の受験を応援し、幼稚園児の妹弟も満足に遊びに連れて行けず、お金も時間も受験を中心に動いていましたので、言ってはいけないと分かっていても、「ちょっと、がっくりだね……」と言ってしまいました。
すると息子は、
「僕が、いとこの中で一番年上だから、一番がんばらなくちゃいけないのに」と言いました。
私はとても驚きました。
息子は、自分が志望校に受かりたい、という当初の目標のためではなく、家族や親戚の期待に応えるために頑張っていました。
私は、そんなことのために頑張らなくていい、本当に東海中に行きたいなら一緒に頑張ろう、本当に東海中に行きたいの?と聞くと、息子は「分からない」と答えました。
それから私もいろいろと考えて、地元の公立中学校の資料と、東海中のパンフレットを息子と見比べました。公立も決して悪くはないけど、東海中なら学習環境はもちろん良いし、自由な校風で、高校受験も無いし、部活もたくさんある。公立ではできない経験がたくさんできる。
名進研の資料だと、合格者と不合格者の差は、平均で1教科あたり10点くらい。その差を埋められるのは、本人の「絶対に合格したい」という気持ちだけだと思う。受験を頑張る動機が、「応援してくれるみんなのために」では、きっとこの差は埋められない。本当に東海中に行きたいと思わないなら、今から受験をやめてもいい、と話しました。
息子は、もちろん東海中に行きたい気持ちはあるし、この時期に今更受験をやめるのは考えられない、もうちょっと頑張る、と言ってくれました。
名進研の先生にも相談すると、「答案を見直したら、ミスが重なって点数を落としているのであって、理解できていないわけではないです。まだ修正できます、大丈夫です。」と仰ってくださいました。
十二月からは、息子と一緒に朝6時に起きるようにしました。
それまでは、正直に言えば「ここまで投資したんだから、結果を出して欲しい」と思うところがありましたが、息子も子どもなりにいろいろと考えて思い悩んでいたことを知って、今までよりもっと、息子に寄り添って応援しようと決めました。
息子が目標に向かって頑張って、試験当日に万全の体調で、全力を出し切ってくれれば、それでいいと思うようになりました。
父親が東海のOBなので、できるだけ息子と一緒にお風呂に入って、東海の生活はどうだったか、東海に入ったら何ができるか、何がしたいか、その後の進路はどうしたいかを話し合い、具体的に夢を描いていました。
十二月下旬のプレ中学入試では、東海はB判定、滝はA判定まで浮上し、正月特訓教室では三日間の中でクラス内の順位を上げました。
その後、名古屋中はスカラー合格、東海中、滝中も無事に合格することができました。
最後まで頑張ってくれた息子と、抱き合って泣いてしまいました。
受験に成功するかどうかは、本人の「絶対に合格したいという強い気持ち」が何より大事です。それがあれば、当日の緊張や、多少の体調不良も吹き飛びます。
また、明確な目標をもって、一生懸命に頑張り抜くことができれば、たとえ結果が伴わなくても、かけがえのない経験ができるとも思います。
息子の今の目標は、某国立大学医学部に入学して、そこで勤務している父親の講義を受けることです。東海中学合格がゴールではなく、その先の目標を見据えている息子を、これからも応援したいと思います。