「南山中学校男子部へ行きたい」という子どもの言葉から、我が家の中学受験が本格的に始まりました。第一志望校が決まったのは六年生の四月頃でした。子どもが目をキラキラ輝かせて言ったこの気持ちを応援したいと思いました。

 ここからは、中学受験について我が家でやってきたことなどを書きます。今後の参考になれば幸いです。

 さて、志望校が決まって気になるのは子どもの成績です。受験当日まで一年を切っているのに、合格圏内に入れるのか正直不安でした。この時点で偏差値43~46ぐらいで、教科によって差がありました。子どもはというと、目標が決まったので南山中学校男子部についていろいろと調べ始めました。説明会や体験授業など参加できるものは全て行くようにして、モチベーションを上げていきました。当然、成績が足りていないことを本人も気づいていましたが、「行きたい」という強い気持ちがあったので行動を起こすことができたのだと思います。日が経つにつれ、生活リズムが変わり、受験生らしくなってきました。

 合格するために子どもが決めたのは、受験とバスケの両立は難しいから一旦バスケを辞める、小学校と名進研に毎日通う、名進研では自習室を活用するということでした。家ではホッと一息つける時間も必要だと思い、隙間時間を上手に活用する工夫をしました。学校へ行く前やちょっとした空き時間(10~15分ぐらい)に、計算トレーニングや漢字テスト、monoxerをやりました。隙間時間なので、「もう少しやりたいなぁ」と思うところでやめました。この方法は私にとって子どもとのコミュニケーションの一つとなったので、皆さんにもおすすめします。計算と漢字の間違えたところはノートにまとめ、週末に解きました。習慣化することができ、入試直前までやり続けることができました。このノートは子どもの苦手な分野を見つけ、克服することにつながりました。
小さな積み重ねが大きな力になったと思います。

 しかし、このように取り組んできましたが、プレ中では思うように結果が出ませんでした。偏差値45~48をウロウロ……。成績が伸びず、子どもも悔しさのあまり涙を見せることがありました。そこで、先生に相談したところ、「最後の一ヶ月で成績が伸びる子もいます。今まで勉強に時間をかけてやってきました。南山中学校に合格できるように塾でも声をかけていきます。」と言ってくださいました。子どもには先生方がついているから、最後まで信じようと思えた瞬間でした。四月からを振り返り、子どもは一度も弱音を吐きませんでした。成績が悪くて涙が溢れてしまうことがあっても、マイナスになる言葉は言いませんでした。「絶対に合格したる‼」が口癖でした。小学生なら、友達と遊んだり、ゲームをしたり、テレビを観たりしたいだろうと想像ができますが、全てを我慢してきました。私は子どもが自ら決めたこととはいえ、ここまでしなくてはいけないのかと葛藤する日もありました。学校の友達には中学受験をすることを話していませんでした。遊びに誘われても自分で断って塾に行きました。子どもは「南山中学校男子部に合格したい」という思いで、モチベーションを上げ、ただただ勉強に励んでいました。その姿を見て中学受験とは、勉強をすることだけでなく、精神的にも大きく成長するものだと知りました。

 入試直前十二月のプレ中では、目標としていた偏差値50を超えました。残り一ヶ月のところで成績がぐんぐん伸び、JSクラスに上がることができました。先生が言われたように奇跡が起こり、合格圏内に入ることができました。油断はできませんが、子どもも嬉しかったようで、また一段と気合いが入りました。

 入試前日は近くのホテルに泊まりました。子どもとの時間を大切にしながら、「いよいよ明日だね」とこの一年の生活を思い出しました。「やることはやった、悔いはない、頑張ってくる」という子どもの言葉を聞いて早めに寝ました。

 当日はいつもと同じような朝食を食べ、余裕をもって南山中学校男子部へ行きました。頑張ってきた子どもにかける言葉は、「入試、頑張ってね」ではなく、「行ってらっしゃい、待ってるから。」でした。入試会場でハイタッチをして送り出した我が子の姿は、逞しく、自信に満ち溢れていました。「よし、きっと大丈夫」と私は心の中で自分に言い聞かせていました。

 合格発表の日、速達で届いた封筒を目の前にドキドキが止まりませんでした。子どもと封筒を開けた瞬間、「やったー‼」の声が家中に響き渡りました。「南山中学校男子部合格」の文字。満開の桜が咲いたような子どもの笑顔をみて、思わず涙がこぼれました。最大のライバルである自分に勝った子どもをギュッと抱きしめました。

 名進研新岐阜校の先生方、六年間本当にお世話になりました。子どもが勉強することを諦めず、投げ出さず、夢に向かって突き進むことができたのは、他でもない先生方のお蔭です。先生方の温かい言葉は、私たち親子の支えとなりました。ありがとうございました。

 最後に、これから中学受験に挑戦されるご家族の皆様、子どものやる気は「無限大」です。お子様を信じて応援してあげてください。お子様が、合格切符を手にされる日を願っています。