長男(二〇二一年合格)と次男が東海中学校に合格した際は、合格体験記を書きたいと考えていました。中学受験に向けた親としての悩みを皆さんと共有できれば良いと思います。

長男の時は中学受験そのものに対して私は否定的でした。中学受験を経験している主人の勧めで名進研に通い始めましたが、私は中学受験の経験が無く、小学生は勉強よりも友達との遊びや部活に時間を費やした方が良いと考えていました。当然何度も主人と喧嘩になりましたが、六年生になった長男から「東海中に合格したい」という言葉を聞き、私の中での中学受験に対する考え方も変わり、もし結果が不合格であっても得るものはあると私が納得してからは、真剣に息子の受験に付き合うことができました。

他の合格体験記にあるように、息子の志望校への強い憧れと気持ちが彼を合格に導きました、と格好良く書きたいのですが、事実は異なります。息子達は普通の小学生でした。プレ中の試験結果が悪くても一時間も経てばケロッとしているし、泣いて悔しがっても三日後には元の勉強姿勢に戻ってしまいます。長男の場合、六年生の夏までは「勉強した」と言ってはダラダラした生活を送り、気付けば白紙のプリントが山になっていました。このままではいけないと思い、九月の面談では長男も呼び、三者面談を行いました。その時に先生から「今のやり方だと君は東海中に合格できない」と言われて初めて、息子の顔に真剣さが宿ったことを憶えています(外は大雨、聞いたことのないような雷鳴を轟かせていたのも憶えています)。それ以降は親からの声掛けが無くても自ら机に向かい、真面目に勉強と向き合っていました。ただ、一度落ちた成績は、簡単には上がらないもので、いかに勉強は積み重ねが大事かということを痛感させられました。

試験当日は大の苦手だった国語で得点を取れたものの(ここは間違いなく白壁校の先生方の指導のお蔭でした)、一番得意としていた算数を大きく失敗しました。ここでの精神的なダメージは相当なものでしたが、長男はここで、三年間の努力を無にする訳にはいかないと歯を食いしばったそうです。残りの理科・社会では、しっかり得点を取り、算数の悲惨な点数をカバーして合格を勝ち取りました。失敗して大きく落胆したときでも自分の気持ち次第で事態を変えられる、私は息子にそれを学びましたし、何より子供の成長を実感した瞬間でした。

次男は、性格的に計画的でダラダラすることがありませんでした。四、五年生共に偏差値は常に60を超えており、大きな心配はしていませんでした。我が家では、受験=家族一丸で立ち向かうもの、としていたので、例えばゲームなどは受験が終わるまでの一年間は全員禁止としていました(PS5・Switch×2の封印式を行いました)。お年頃になった長男(中三)は、大好きなゼルダ
の新作が出ても、友達同士でスプラトゥーンの話で盛り上がっていても、最後まで封印を解こうとはしませんでした。

ところが次男は六年生秋の東海プレ、プレ中で偏差値が60を切りました。特に点数の悪かった理科・社会をチェックすると、基本問題をことごとく間違っているのに気付きました。基本が頭の中に定着していなかったのです。試験範囲がある程度絞られている時は、直前の暗記で何とか点数を取る事が出来ても、それを繰り返し覚えることはしていませんでした。主人は以前から指摘はしていたようですが、本人は全く聞く耳を持っておらず、主人も「本人が自分で心のスイッチを入れないと東海中合格は勝ち取れない」、とぼやいていました。その主人の隣で怒鳴り始めたのは長男でした。「お前、東海中の入試を舐めんじゃない、算数が得意だからといって、それを失敗したら終わりだぞ‼」経験者の言葉は、ずっしりと重く、次男はポロポロ泣き始めました。十一月に入ったある日のことでした。

その日から主人と二人三脚で、やることの優先順位をつけ、入試までの計画を立てました。特に暗記を重点的に理科・社会は完全制覇テキスト、国語は漢字の要を徹底的にやり込みました(次男はテキストを汚すのが嫌?なのか、間違いにチェックをつけようとしないのですが、主人は遠慮なく自分の色に染めろと言いつつチェックしていました)。一月からは、テキストに加え、正月特訓講座や志望校別特訓講座の間違い箇所、大量の入試直前プリントを用いてひたすら復習を行いました。

次男の試験当日、主人と一緒にお祈りをしながら時間が過ぎるのを待ちました。試験会場から出てくる息子の顔を見るまで、心配は絶えませんでした。しかし、出てきた息子の顔を見た瞬間、受かったかも‼と思いました。長男の時は、真っ青な顔で「やばい、ダメかも」と言っていましたが、次男は、頬を真っ赤にして「大丈夫‼」と、ハッキリした声で言いました。

入学後に背が伸びすぎて殆ど未着の状態で仕舞っていた長男の制服を次男に着せてみるとぴったりでした。新品でなくても次男は嬉しそうです。この六年間、兄弟愛も夫婦仲も強くなり、最後までぶれることなく東海中合格という目標に向かって突き進み、家族全員がそれぞれ成長したと感じます。二人の合格を支えてくださった名進研白壁校の先生方々と、素晴らしい教材・カリキュラムを準備してくださった名進研に感謝いたします。どうもありがとうございました。