まさか、受験がこんなに苦しいものだとは思いませんでした。いよいよ六年になり、授業日数も増え送り迎えやお弁当の手間が増えるのは“徐々に”なのでさほど苦には思いませんでした。けれど我が娘は「まさか!」をやってくれるようなアウトローでした。

 厳しい夏期講習は休まず電車で通いました。ところが夏休み明け、突然の学校の不登校。二〜三週間、行ったり行かなかったり。けれど名進研には通っていたのでそれほど心配はしていませんでした。担任の先生との話し合いもあり学校へ行くようになると、今度は塾に行かなくなりました。このままでは本当に受験できるのか、授業についていけるのかと、毎日不安でした。行かない理由もハッキリしないので親として術がありません。所属校の先生方にもずいぶん心配をかけました。毎日FAXで送られてくるメッセージがとてもありがたかったです。
 自宅では全く勉強することがなくなりましたが、テストゼミやプレ中学入試は受けていたので、受験するという意志は感じられました。友達からのメールに応えて行くこともありましたが、基本、不登校。そんなことをしていたら冬休みになり、正月特訓教室には喜んで参加した娘。けれど通常に戻るとまた行かなくなり、親の心配や不安も受験日が近づくとピークになりました。

 あれだけ保護者会で禁句だと言われたような言葉も、何度言ったことでしょう。でも、受験をやめると一度も言わなかった強さが、そこにはありました。
 最初に受験した愛知中学校から合格をいただき、大きな不安が消えた気がして少し楽になりました。

 けれどもう一つの「まさか!」はインフルエンザ。南山中学校女子部の前日まで熱を出していました。幸い保健室での受験ができたのでよかったですがこれには先生方もハラハラしたことでしょう。当日の朝の激励の言葉は、魔法の言葉になりました。
 『大丈夫‼お前は強い‼思いっきりやってこい‼』
 ふっと娘の表情が明るくなるのがわかりました。
 発表の日、南山中学校女子部の合格通知を受け取った時には「まさか!」と震えました。その後の滝中学校も、インフルエンザも怖くないので落ち着いて受けることができ、合格をいただきました。

 結果オーライで良かったのですが、不登校という問題児を最後まで応援してくださった先生方には、本当に感謝しています。今思うと、夏期講習と正月特訓教室で集中して力をつけていたのでしょうか。TVもダメ、ゲームもダメ‼と言ってた反動だったのでしょうか。本人を信じて、やりたいようにやらせるしかなかった無力な親です。何かアドバイスできる立場ではありませんが、お子さんを信じて見守ってあげてください。