親子で走り抜けた二年半の受験生活も終り、今娘は小学校卒業に向けて忙しい毎日を送っています。

 娘が中学受験を決めたのは四年生の夏休みでした。近くにある他の塾と名進研どちらに入会するのか迷っていましたが、名進研は2ウェーブ方式で九月から入会する娘には適していたので、名進研でお世話になることに決めました。

 算数は好きだけど国語が苦手、小学校での成績は上位だったけれど名進研に入会してしまえばもっと出来る子達はたくさんいる。入って直ぐに娘に置かれている現実が分かって良かった反面、あと二年半で間に合うのか?正直不安ばかりの日々でした。
 2ウェーブ方式でしたが九月からの学びは前期の基本の復習、更には応用的な勉強だった為、まずは基本的なことを理解することで精一杯でした。小学校の授業では学ぶことのできない莫大な量の内容を親子二人で覚えて、夜遅くまで塾の宿題をし、朝早く起きて更に勉強する。小学生なのに受験をするとはこのような過酷な生活を強いられるという事、早い子はもっと前からこの生活を続けているのだと知り、入会しなければ体験できない生活を送ることができました。娘は国語の読解力がないので参考文献を購入し、彼女には時間がないので親が読み、参考になる部分を解説したりしました。要点まとめの参考書なども買い与え、少しでも効率よく勉強できるようにしました。

 五年生になる頃にはJSクラスで安定し、好きな算数のトップレベル講座EXも受講できてホッとしていました。
しかし五年生の後期に、今まで通っていた校舎が閉校になることになり、転塾するか、他の校舎に転校するか、自宅で勉強するか選択を余儀なくされた時は本当に頭が真っ白になってしまいました。
 四年生の時点で名進研に入会を決めた時の私の選択が悪かったのだと自分を責めたりもしました。約三ケ月間悩みに悩んで、転塾するとテキストの違い、カリキュラムの違い、クラスの雰囲気の違いなどいろいろ考慮した結果「やっぱり名進研がいい」と娘が決めたので、通塾に一時間かかるけれど転校し最後の一年間親子共々走りきることにしました。新しい校舎は今までの校舎より人数がとても多く、在校生一〇〇名の小学校に通い、日々少人数学級で慣れている娘には未知の経験でした。
 一点二点で席が前後し、平均点は取れていてもクラスに入りきらなければS2クラスとしてAクラスに席が置かれ、そこで学ぶなど転校したことによって受験の厳しさ、一問一問の大切さを改めて感じました。更に娘は人見知りもあってなかなか新校舎に慣れず、わからない問題も先生に聞くことが出来なかったのですが、新校舎の先生方が何度も電話をくださり、少しずつですが娘に寄り添って接してくれたおかげで、娘も環境の変化に押し潰されることなく学ぶことができました。

 六年生になってからは、毎週日曜日のテストゼミ、トップレベル講座EXの受講、毎月行われるプレ中学入試、解きなおし、予習、復習、過去問の取り組みなど時間を有効的に使わないと一日24時間ではとても終わらず、気づけば24時を回ってしまうことも度々ありました。そこで学んだことが、眠いと勉強がはかどらない、眠たいときはあきらめて寝る!これにつきます。初めの頃は起こして宿題を頑張ってやらせていましたが、字は汚くて何が書いてあるのか読み返せないし、そもそも頭に入っていないし、喧嘩になるし、とお互いにとっても良いことは何一つなく、潔く寝ることも十二歳には必要だと感じました。また入会した頃は国語の偏差値が低く、語彙力、文章の読解力もなかったので、「もっと小さい頃から本を読ませていれば良かった」とか、「速読を受講していれば良かった」とか?後悔ばかりでしたが、五年生からの毎週のテストゼミ、宿題以外の国語のテキストの文章問題の取り組みなどのおかげで六年生の後期には着々と偏差値は上がっていきました。国語は文章問題を数多く、時間を計って解いた方が身になり、下手な解説や文献を読んでアドバイスするより効果的でした。
 その反面ほぼ暗記の社会には最後まで頭を悩まされました。地理はまだ得意でしたが歴史が苦手でなかなか覚えられず、漫画日本の歴史を慌てて全巻購入し暇さえあれば読ませました。駅までの送迎の車内でも年号をリズム化したCDを流してゴロ合わせで楽しく二人で覚えました。ゴロ合わせの歌は受験が終わった今でもたまに口ずさんでいます。

 また小学校のクラスの友達に受験することを黙っていたので、学校生活も大変でした。少人数学級なので、部活も辞めることができず(辞めたら部の存続の危機になるため)、委員会、クラブ活動、奉仕活動、地区大会の度に新たな部活ができ、ほぼ全員参加の為、塾との両立がとても厳しかったです。
 九月以降は塾の勉強が本格化し、精神的にも肉体的にも辛かったので、私の勝手な判断で周りの人には「最近引きこもりなの」と言い訳して行事や部活をお休みさせてもらったりしました。「大丈夫?」と心から心配してくださる親御さんもいて本当に心苦しかったのですが、どんな結果になるか分からず、できる限り受験の事を内緒にしておきたい、という娘の気持ちも手に取るように分かるため、最後までいろいろ言い訳をしていました。今から思えば『引きこもり』というのも「塾に引きこもっていた」ので、あながち嘘でもないのかな?と思います。

 入会した時から、第一志望は南山中学校女子部でしたが、手が届かず愛知淑徳中学校にご縁があり合格通知を頂きました。進路が決まった時、第一志望ではないのでもっと気落ちしていると思いきや、「制服かわいいし、校舎綺麗だから今から楽しみ」と喜んでいる娘を見たとき、二年半本当によく頑張ったからこそ結果に満足しているのだと分かり、我が子を誇りに思いました。また転校したおかげで、毎日電車通学を余儀なくされ、マナカの紛失や電車の乗り遅れ、雪のための遅延など、一年早く電車通学の対処法を学ぶことができました。

 二年半の塾生活で言えることは、時間に余裕があるならば「速読・速解力講座」を早い段階で受講するといいと思います。速読が身についていると問題を解く時間に余裕が持てるからです。
 テストゼミを数多くこなせば着々と力は身に付きますが、やはり速読ができると時間にも気持ちにもゆとりが生まれるため、試験の際焦らなくてすむようです。また娘のように先生やチューターにどうしても質問できない人は、ゼミノートなどに分からない問題や質問を書いて提出することをおすすめします。わからない問題をそのままにしておくのは危険ですし、親が教えるには限界があります。面と向かって一対一で質問できなくてもノートに記入するなら出来ると思います。娘は最後まで質問できずノートで先生と会話していました。

 最後に、人見知りでうまく感情表現を表せない娘に最後まで温かく接してくださった先生方本当にありがとうございました。また、愛知淑徳中学校の入試当日に旧校舎の先生方が娘をいち早く見つけてくれてそして激励のエールをおくってくださった時、『いろいろあったけど今日という日を迎える事が出来た、走りきった。』という気持ちで胸がいっぱいになりました。テストの結果に一喜一憂し、娘のために出来ることは何か?と日々考えて生活した二年半は今から思えばいい思い出で貴重な経験です。本当にありがとうございました。