「二人目のプレッシャー」
「喉元過ぎれば熱さを忘れる」とはよく言ったもので、二年前の長男の受験時に味わった入試独特の緊張感は、すっかり過去のものとなっていて記憶から姿を消していました。
兄弟、性格は異なっていたものの、名進研での成績の推移の仕方は類似していました。四、五年生の時は、多少ジェットコースターのような波はあったものの、六年生になってからは成績も安定しており「このまま行けば大丈夫だ」と安心して見守っていました。
二人目ということで受験の流れも分かっていましたし、漠然とした不安感もなく年を越しました。
ところが、いざ入試がスタートするという数日前から、私自身が自分でもびっくりするような精神状態に陥ったのです。普段なら笑いとばしてしまうようなことにも過剰に反応してしまい、所属校の先生に電話を掛けて話を聞いてもらう程でした。これが俗に言う“同性兄弟の二人目のプレッシャー”なのだと実感しました。しかし、受験生である子供の前では動謡している自分を見せまいと、これまで以上に努めて明るく振る舞いました。
名古屋中学校よりスカラー合格をいただき「さあ、勢いにのって東海中学校も合格だ!」と、意気込んで迎えた入試前日の夕方に、息子が突然の嘔吐と下痢。さすがに頭の中が真っ白になりました。お医者様からも、この状態では受験するのをあきらめた方がよいのではないか、とも言われました。しかし、何よりも息子自身が「這ってでも行く」と聞かず、前日から何も胃に入れていない状態で当日の入試に臨んだのでした。幸い、一度も席を中座することなく受験を終えることができました。
“やることは全てやり切った。あとは天命に任せるしかない”と祈った合格発表までの数日間。まさに一日千秋の想いでした。
水色の封筒を受け取り、合格通知書をこの目で確認した時の感動は長男の時よりも何倍もうれしいものでした。
入試というものは、本当に最後の最後まで何が起こるか分からないものです。百人いれば百通りのストーリーがあるのでしょう。
最悪のコンディションでも持っている力を出し切った息子の精神力は、名進研に通い、中学受験を経験したからこそ培われたものだと思います。
長男の時から通算して五年間、所属校の先生方には本当にお世話になりました。兄弟揃って同じ中学校に通えることに感謝しております。ありがとうございました。












