我が家にとって名進研での二度目の中学受験。三年ぶりとはいえ、スケジュールも要領もわかっており、気持ち的には余裕でいけるはずでした。

しかし最初の一年は、不安ととまどいの連続でした。その原因…。それは親の私が、子どもの“個性”を尊重せず、“内に秘める力”を信じてやることができなかったからです。

こつこつと真面目に努力を重ねる元名進研生の姉。誰にも負けたくない、その一心で、学校行事もスポーツも勉強も、何においても手を抜かず、そして結果を出す。親子ともさして不安はなく、志望校の合格は、「あれほどがんばったのだから、当然だよね」とも思えました。親に何でも話す姉。娘の考えている事は手に取るようにわかり、それゆえ適切なアドバイスもできました。

一方、学校の事、事など全てにおいて何にも話さない妹。「あー言えばこー言う」で会話にならず、名進研への車での送り迎えも拒否し、一人で行き、一人で帰ってくる。ノートを見ても、鞄を触っただけでも怒るので、JSクラスにいる事以外は、今何をやっているのかさえ全く見えませんでした。「『勉強』と『努力』が一番嫌い」と豪語し、「宿題はない」と、一日中エンピツ一回すら持たない日も。名進研で週三回2時間の授業を受けるのみ。名進研から帰れば寝るまでゲーム・パソコン・読書三昧の日々。「やる気がないなら受験なんてやめたら?」と何度もバトルをしました。

いよいよ六年生。日曜日のテストゼミを開始し、親から見れば、“こんなに勉強しないのになぜ?”と唖然とするほどの不釣り合いなテスト結果に逆に不安が募り、所属校の先生に相談に行きました。

先生によれば、「授業は真剣そのもの。家で勉強していないなんて信じられない。宿題もきちんとやってきています。」との事。とある保護者会で、“宿題終わらせるのに夜中の1時までかかった”と言われるのを聞き、今までの事も含め娘とじっくり話をしました。宿題は休憩時間にほとんど仕上げてしまう事。「やれ、やれ」と言うけれど、自分なりには考えて努力している事など、“もっと認めてほしい”という気持ちがひしひしと伝わってきました。

子どもは一人一人性格も違えば考え方も異なります。知らず知らずのうちに姉妹を比較していた自分、がんばって当然と思っていた自分を深く反省しました。彼女は彼女のやり方で、短時間でも効率的な集中力のある学習で、力を積み重ねていたのでしょう。親を頼らず何でも自分でこなし、クラスは俊秀でがんばり続ける娘。“もっとあなたの力になりたい”と伝えました。センスで勝負の科目を除き、反復学習量がそのまま結果に表われる社会・理科の暗記部分が足を引っぱっている現実を改善するため、親子でタッグを組みました。最後の最後で親子一丸となり、最強の状態で入試本番を迎える事ができたのです。

二度目の中学受験が教えてくれた事―――…それは、親として子どもの持つ力を心から信じ、子どもの全てを認め、だまって見守る事。“いつもそばにいるから安心してね”と無言でオーラを出し続ける事、その大切さです。

『みんな違ってみんないい』『あなたはあなただからいいのです』南山中学校女子部の教えを改めて感じ、タイプの違う姉妹が揃って南山高等・中学校女子部で学べる事の幸せに感謝しています。名進研に出会えた事、先生方に教えていただけた事に心から感謝いたします。ありがとうございました。