名進研の保護者会での一場面、私のなかでの気にかかる話
“受験を経験した子供の多くは、自分の子供にも中学入試をさせてあげたいと思うようです…”
何故だろう?
心の片隅に残った疑問であった。

息子の東海中学校の制服を嬉しそうに眺めている妻の姿を見るにつけ、あの名進研での受験生活を思い出しながら筆を執っています。結果は、県外受験こそ一歩及びませんでしたが、東海中学校・滝中学校・名古屋中学校(スカラー)と合格することができました。

名進研へは、四年生から三年間通いました。通塾する前から本の虫であった息子の話の内容は小学校では受け入れてもらえず、名進研は家族外で唯一自分を表現できる場所でした。大人顔負けの知識の数々は受験生活にとってはとかく好都合であり、名進研の模擬試験ではある程度の成績に繋がりました。しかし成績は決して最後まで安泰であった訳ではありません。

受験生活を終えた感想は“中学入試は家族の総力戦”。これは受験結果を大きく左右するポイントだと思います。本来は子供が自発的に取り組むことが望ましいのですが、所詮子供のやることです。悩んだ末、今回は家族の総力戦にて挑むことにしました。

まず母親はほぼ毎日の名進研への送迎や弁当作りがあります。更に彼女は、テストゼミや名進研プレ中学入試などを片っ端からコピーして、何度もやらせました。コピー代は毎月結構なものとなり、我が家はコピーに埋もれましたが、これは、意外に効果がありました。

私の方は、まず、名進研に提出する志望校の絞り込みを行います。親の希望は東海中学校でしたが、息子の希望は県外難関校でした。通学することを考えると県外校は現実的ではありませんが、息子のやる気を無くさせないよう気をつけました。ただ、父親がやるべき最も重要なことはブレないことだと思います。とかく母親は成績に一喜一憂しがちであり、場合によっては、子供の足を引っ張ることすらあります。私が最も恐れたことでした。我が家も一度、修羅場を迎えましたが、何とかそれを乗り越え、直前期に突入しました。正月三が日は親子の12時間特訓が続きました。

そうして迎えた息子本命の県外受験。本人なりには気合を入れたようでしたが、結果は伴わず。呆然としながら、発表の掲示板を何度も見直す息子の姿は、親としては忘れられない光景となりました。その後、名古屋中学校はスカラー合格を果たしたものの、依然、気持ちは高まりません。このままでは東海中学校・滝中学校と連敗する雰囲気すらありました。東海中学校は算数が一問六点であり、裏目に出ると総崩れです。滝中学校も東海中学校と然程レベル差はありませんから、最後の二週間は追い込みの一手です。私も仕事は最低限に留め、親子共々悔いのない仕上げに突入しました。その甲斐あってか、筆記試験も無事終わりました。結果こそ親の希望通りでしたが、本当に紙一重だったと思います。こうして我が家の総力戦は幕を閉じました。

成る程、そういうことだったのか。冒頭の名進研保護者会での話の意味を、今しみじみとかみしめています。子供は怒られながらも、家族の一体感のなかで、きっと愛情を感じていたんですね…。