合格おめでとう。四年間勉強お疲れさま。娘が封筒を開けたとき、左後方に座っていた私の眼に合格の文字が一足先に飛び込んできました。思わずガッツポーズをしてしまいました。思えば小学二年生の冬、娘が受験したいと言うので賛成しました。「もっと難しいことを勉強したい。」と語る娘を頼もしく思いました。

 大学受験で競う相手は、中高一貫の難関校出身者ばかりです。入学六年後には、然るべきレベルに達する必要があるため、上位校合格以外は考えられませんでした。同時に父親としてできることは何かを考えたところ、モチベーションの維持、土日に新単元の予習のサポート、テキストの未習問題やトップレベル講座EXの問題の解説、保護者会への出席、子どもの喜怒哀楽を受け止めること、そして学費の工面でした。また、妻の不満を全身で受け止めることも喫緊の課題となりました。

 モチベーションの維持は最大のネックで、勉強を投げ出したくなったり、眠くなり暴れたりと小学生らしい反応を受け止めるには忍耐が必要でした。塾の迎えの車内や寝る前に娘とよく話しました。私の中学校から大学院までの様子を知りたがりましたので、話の中でなぜ勉強しなければならないのか、困難をどのように克服したか、これまでの失敗談などを織り交ぜながら言葉を選びました。

 勉強面では、予習、授業、復習、テストという生活サイクルの定着に努めました。復習中心と謳われていますが、テストゼミで九割以上の成績を取るには予習が必須です。学習事項を親も把握しておき、例えば、畜産物や作物の産地など子どもが興味をもてるよう工夫しました。みかい鳥や北かみ牛などありそうでなさそうな動物を語呂として誕生させました。テストで活用できたか、産地の順位に年度変更がないかを確認し、適宜修正しました。また、実力テスト予想問題や社会・理科のテキスト準拠穴埋めプリントを自作しました。塾の未習問題やトップレベル講座EXの復習でわからないときも教えました。トップレベル講座EXのテスト直前には、ラ・サールの算数の問題を至急解けとメールをよこしたのですぐに返信しました。テスト後、考え方がわかった、できたと嬉しそうに車に乗り込んで来たので安心しました。

 娘はまだ精神的に幼く、ノートを点検されることに抵抗がなかったので理社の漢字の間違えを指摘しました。理科では「てこ・滑車」、「物質の溶解・濃度」の特訓を行いました。図全体を眺めている為に、問題の関心領域に目が向いていないことがわかりました。例えば滑車の糸にかかる力を求める問題では、問題となる滑車及びそれに架かる糸のみを取り出した図を書かせました。直接解説できない日には、図入りの詳細な解説をレポート用紙に書き置きしました。「てこ、苦手」が口癖でしたが、苦手と騒いだときこそ父親の出番です。苦手を得意にすることは可能で、点数を取らせれば自信がつきます。逆に得意と思いこんでいる時が危険です。物質の溶解の問題では、正解までの思考プロセス、どの数字になぜ着目するかを解説しました。鏡文字の問題では、右手と左手が鏡像関係にあることを利用し、両手を使って解くよう秘策を伝授。地層の計算問題では負の数の概念を教え、基準となる層の高さを計算し比べよと伝えました。

 私自身、学生時代に悪い点数を沢山取った経験からテストの結果で娘を責めず、間違えた問題をできるようにしてあげればよいと思っていました。M-netは有用で、出張先でも結果を確認し、娘へアドバイスを送りました。妻は子どもの勉強を支え、弁当、送迎の全てを完璧にこなしました。頭が下がります。

 今回の合格はスタート地点に立ったに過ぎません。これまでのノウハウを活かして頑張って下さい。「毎日十時間勉強しろ」と言いましたがよく応えてくれました。人生であと二回はこのぐらい勉強をする機会が訪れますが大丈夫です。

 最後に父親としてできることは時間的にそう多くありません。頑張っている子どもをどんな形であれ可能な限りサポートしてあげれば正解と思います。