ある朝、自宅の玄関脇に雑草が生えているのを見つけました。コンクリートを突破して生えてきたのです。微力でも、じっくりじっくり時間をかけるからこそ、雑草はコンクリートを突破することができたんだ。そんな雑草を見ながら、娘の受験に向かう姿が重なりました。(ちなみに、その雑草は、「おお、恐るべし‼雑草‼」と思いながら、引っこ抜かせていただきました。)

 あれは、もうすぐ、四年生になるという年、娘は中学受験を自分の意思で決めました。妻にも、「大変な三年間が始まるよ、覚悟してね‼」と念押しされたのを昨日のことのように覚えています。私はその迫力に、「わかった」と言うしかありませんでした。

 そこから、名進研に通う三年間が始まり、弁当作り、スケジュール管理、塾への送り迎えは妻が行い、車での移動時間は、テキストの復習を会話しながら、時間を有効に使ってやっている様子がうかがえました。私がやったことといえば、娘が日曜日のプレ中学入試などで早く帰宅したときや勉強の間の時間に、キャッチボールやサッカーを息子も混じって、時間を忘れてとことん遊んだこと、あと、問題集のコピーをコンビニでしたことぐらいしか記憶にありません。娘は夜遅くまで、妻とテキスト演習を繰り返しやっていました。時には、できない問題を娘が泣きながら妻と一緒に取り組んでいたこともありました。思わず私から出た言葉は、「そんなに、無理してやらなくてもいいよ、つらかったら、やめていいんだよ」と無責任な言葉を言ったこともあります。一度、娘が投げやりになって妻と言い争っていたとき、私が問題集をゴミ袋に入れて、捨てようとしたこともありました。でも、できないことから逃げずに、ひたすら問題演習を繰り返す娘を見ていて、心が痛むときもありました。娘が白星だったとか、黒星だったとか言っていたことがありますが、私は、成績にはあまり関心が無く、ただ、ただ、今日という日を大切にして、支えてくれる人に感謝の気持ちを持って過ごして欲しいと伝えました。

 娘の勉強場所は台所です。なので、当然勉強の邪魔をしないように、私と息子は静かに本を読んだり、イヤホンをしてテレビを観るということも多々ありました。時々、「お父さん、この問題解いてみて‼」半ば挑発的に言ってくることもあり、意気揚々とチャレンジするのですが、父の威厳を保てないことばかりで、娘によく教えてもらいました。姉の姿を見て三つ下の息子も、椅子に座って宿題をする習慣が自然と身に付いていったように思います。なんだか、兄弟の絆も深まっていたんでしょうね。

 正月特訓教室では、家族みんなで娘の応援に行きました。周りを見渡すと、みんな賢そうで負けん気が強そうな子ばかりで、何かうちの家族だけ、場違いのような気持ちにもなりました。しかし、娘は名進研のトレーナー、校舎の先生方からのメッセージ入りの鉢巻きを身につけ、開校式に参加しました。最後までやりきれるだろうか?という親の心配はどこ吹く風、周囲の雑音から離れ、勉強漬けの三日間を過ごしてきました。閉校式では今まで見たことのない、充実した顔つきと安堵感の表情で戻ってきた娘を誇らしく思いました。この特訓でたくさんの仲間や先生方と出会い、学び、切磋琢磨したからこその表情だったと感じます。私の方が子離れしていなかったのかもしれません。この日を境に、自ずから動くことが更にまし、朝から自習教室に出かけ、チューターの先生に分かるまで教えてもらったり、雰囲気を変えるために他市の図書館で苦手科目の克服に励む日が多くなりました。さすがに、受験日が近づくにつれ、不安になったり、弱音を吐いたりするときもありましたが、私たちは、普段と変わらずに娘の気持ちにより添っていたように思います。ただ、食事の時には勉強の話はせずに、芸能人やテレビで話題になっている話などをして、たくさん会話をしていたように思います。

 娘は小さな体で生まれましたが、幼稚園、小学校の九年間を皆勤で過ごすこともできました。何でもやりたがる娘は、学校でも部活動や行事なども全力でやりきり、悔いの無い小学校生活を送ることができたと思います。中学校受験にあたり、名進研の先生方と仲間に恵まれたのも目に見えないご縁をいただいたおかげだと思っています。

 あくまで、受験は結果が求められます。合格したから言えるかもしれませんが、私は、そればかりでは無いと思っています。三年間で本人が積み重ねた時間と忍耐力は一生の財産となると確信しています。娘が、結構薄での合格通知書を開けて、大粒の涙を流した姿は私たち家族にとって、生涯忘れることの無いシーンとなりました。中学校では今まで頑張ったことを胸に、三年間で培った雑草魂を持って、自分の夢に向かって、邁進して欲しいと思います。
 最後に、先生方の熱のある指導に感謝の意を表すと共に、頑張った娘はもちろん、それに寄り添って伴走し続けた妻にありがとうの言葉を添えて、終わりにします。本当にありがとうございました。娘の一生の伴走者 父より